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11月30日、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長の講演会が東京都内で開催された(日本原子力研究開発機構、東京工業大学の共催)。講演の中で事務局長は、世界のエネルギー消費は2030年までに53%増加するとの予測を示し、増加分の70%は途上国によるものと指摘した。途上国が開発を進めるためにはエネルギーが不可欠だが、現在は地球規模でエネルギー格差が拡大している。事務局長は中国、インド、インドネシア、ベトナム、トルコといった国々が、エネルギー安全保障の観点から原子力発電の導入計画を進めていることを紹介。原発が温室効果ガスの排出量を削減する観点からも注目されていることに言及し、半世紀にわたる原発の運転経験によって信頼性、経済性、安全性についても大幅な改善がなされているとした。 原発への期待が高まる中、ウラン濃縮や再処理といった原子力技術の拡散が懸念されている。事務局長は、IAEAはNPT保障措置協定に基づいて査察を実施しているが、依然として30カ国が包括的保障措置協定を締結しておらず、約100カ国が追加議定書を発効していない状態にあると語った。 核技術の拡散をいかに防ぐかが課題になる中、事務局長は原発国の燃料供給中断リスクを低減する「核燃料の供給保証メカニズム」を構築、ウラン濃縮や再処理を新たに行おうとする国の動機や正当性が成立しないようにする。その上で新たにウラン濃縮やプルトニウムの分離を行おうとする国の活動を多国間の管理下に置き、既存施設についても多国間管理を実施。すべての国を公平に扱い、核の拡散を防ぐ「多国間管理構想」を提唱した。 講演終了後、参加者からの質問に答えて事務局長は、現在のNPT体制は包括的核不拡散体制の一部であり、核保有国の核軍縮努力や核抑止力に依存しない体制が必要なこと、IAEAは「役に立たない」等々の批判を受けるがそもそも核保有国に対する権限がなく、NPTに加盟していないイスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮に対する権限もない。IAEAの活動を実効力あるものにするためには、包括的かつ公平な制度構築が必要と訴えた。 また「IAEAで働きたいが日本人職員に期待されるスキルは」との質問に対しては、IAEAは特別な専門機関で専門知識が要求されるが、分担金を考慮すると日本人の採用枠には余裕がある。ぜひ就職活動をしてほしいと、講演会に参加した大学生や若手研究者に期待を寄せた。 なお、当日の模様、講演の要約、原稿原文は「核不拡散科学技術センター」のホームページで閲覧できる。
1942年エジプト・カイロ生まれ。62年にカイロ大学法学部を卒業し法学位を取得。エジプト外務省に入省し、ニューヨークとジュネーブで国連のエジプト代表部に勤務した。84年以降はIAEA事務局に勤め、法律顧問、事務局長補佐などを歴任。97年に事務局長に就任した。2003年のイラク査察では、大量破壊兵器の存在を示す証拠を求めハンス・ブリクスとともに国連武器査察官チームを指揮。イラク開戦を強く主張するアメリカの圧力に屈せず、任務を貫いた。05年IAEAとともにノーベル平和賞を受賞。今回の来日は04年10月以来であり、IAEA事務局長としては5回目。 ・外務省(IAEAの概要等) ・国際原子力機関(IAEA)公式ホームページ(英語) |
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