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06/10/9
一般紙の報道によれば、ポリトコフスカヤ女史が評論員を務めた「ノーバヤ・ガゼータ」紙の副編集長ヤロシェフスキー氏は、「アンナの報道姿勢以外に暗殺の動機は考えられない」とコメント。同紙の共同経営者の一人であるゴルバチョフ元ソ連大統領も、「勇気ある女性記者に対する野蛮な犯罪であり、民主的な独立メディアへの大打撃だ」と事件を痛烈に批判したという。 ポリトコフスカヤ女史は大学卒業後、複数の新聞社や出版社等での勤務を経て、1999年からノーバヤ・ガゼータ紙に勤務。第2次チェチェン紛争の取材を担当した。以来、チェチェンでロシア軍がどのような残虐行為を行ってきたか、何度も現地に足を運び、命の危険にさらされながら、丹念に証言を集めて世界に発信し続けてきた。一連の記事はルポタージュとしてまとめられ、日本では『チェチェン 終わらない戦争』と題して出版。チェチェン問題の根深さ、悲惨さは、多くの読者に衝撃を与えた。 ロシア・ジャーナリスト連盟のイーゴリ・ヤコベンコ事務局長は、「ポリトコフスカヤ女史のような記者は他におらず、ロシアのジャーナリズムへの打撃は計り知れない」と語った。日本ではチェチェン問題を報じるメディアが少なく、その凄惨な状況が伝えられないまま忘れられている感すらある。ポリトコフスカヤ女史の報道は時にチェチェン独立派寄りと批判されることもあったが、世界がもっと知るべき問題が注意されることもなく放置されている現実を知らせる一つの警鐘だったことは間違いない。 はたして彼女の死が政治的な陰謀なのかどうかは分からない。たしかなことは、命懸けでロシアの人権問題を告発し続けてきたジャーナリストが死んだということ、そして、事件があった10月7日は彼女が批判してきたプーチン大統領の54回目の誕生日だったということだけだ。 日本語で読めるポリトコフスカヤ女史の著作
「将来の希望? そんなものはないわ。今日一日を生き延びた。それだけよ」―昨日連行された人が、今日無惨な姿で戻ってくる。10年もだらだらと続く戦争の中に育った子供たちは、銃撃戦の音に耳をそばだて、兵器の名前を当てっこしている。外国報道陣を寄せ付けないチェチェンは、世界から完全に忘れ去られ、無法地帯と化してしまった。ロシア人ジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤが命をかけて拾い集めたのは、ロシア軍のイデオロギーでもなく、チェチェン独立を訴える武装勢力の主張でもなく、誰にも止められなくなってしまった戦いに逃げまどう市民たちの声だった。
北オセチア学校占拠事件が起きたとき、対策本部が最優先したのは、プーチンの意向を知ることだった。人命よりもイデオロギー、それがロシアの現実だ。社会の弱い立場で苦しむ人々へのインタビューから、現在のロシアには軍隊の規律崩壊、新興財閥の専横、司法の腐敗など、様々な問題が蔓延していることを明らかにする。チェチェン戦争やモスクワ劇場占拠事件で肉親を失った被害者が、いかに情報から遮断され、冷たい仕打ちを受けたかも生々しく描く。著者は、それらの元凶がプーチン大統領にあると指摘する。国家保安委員会(KGB)から大統領へ上り詰めたプーチンという人間を通し、ロシアの現状を考察する1冊。 |
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