07/03/06


虐げられる子どもたち
子ども兵問題の解決を


少女の訴え

体験を語るマデリーンさん(15歳)
Photo#140147 UN Photo/Eskinder Debebe
少女に対する差別や暴力が世界中で横行している。例えば5500万人の少女が学校に通えず、アジアやアフリカで利用されている子ども兵(チャイルド・ソルジャー)の約40%が女の子。HIVやAIDSに苦しむ15歳から25歳までの若者のうち約60%を女性が占めている。

そんな中、「国連女性の地位委員会」が組織したフォーラム「ガールズ・スピークアウト」が国連本部で開催された(3月3日)。コンゴの元子ども兵、強姦されHIVに感染したザンビアの少女、児童労働に従事するネパールの女の子など世界中から差別や暴力に苦しむ少女たちが集まり、自らの経験を通して少女の人権を守るよう訴えた。

コンゴから参加した元子ども兵のマデリーンさん(15歳)は、「復員した少女兵は地方で暮らしています。彼女たちの10人に7、8人が子どもを、望まれない、地域の人々に拒絶される子どもたちを出産しました。彼女たちの中にはHIVやAIDSなどの病気に苦しんでいる子もいますが、治療は受けていません」と証言する。マデリーンさんは2002年、11歳で武装グループに召集され、終戦までの2年間、内戦の最前線で子ども兵として戦わされた。「私たちは、こんな苦しみを受けなければならないどんな悪いことをしたのでしょうか?私たちに未来はあるのでしょうか?」――彼女は聴衆にこう問いかけ、そのまま泣き崩れた。司会を務めたCBSニュースの有名キャスター、ケイティ・コーリック女史は各国政府代表に訴えた。「世界を変えるためには、もっと世界を知るべきです」。コーリック女史は2児の母親でもある。


子ども兵の実態
子ども兵は、人間として扱われない。例えば多くの子ども兵が生まれたことで知られるアフリカ・シエラレオネの内戦では、子ども兵にマリファナを煮出した茶を与えて恐怖を感じないようにし、「盾」として銃弾の飛び交う前線に送り込んだ。少女兵の多くは強姦され、結婚の強要などを受けた。1991年から続いた内戦は10年あまりで終結したが、子ども兵の社会復帰は容易ではない。現在も多くの少女兵は1回100円程度で売春を繰り返し、少年兵は日当30円でダイヤモンドの採掘に従事しているという。シエラレオネの内戦は、ダイヤモンドの利権をめぐる豪族同士の私欲の争いだった。そんな大人のエゴによって、多くの少年・少女が犠牲になった。

現在、世界には25万人の子ども兵がいるといわれるが、実数は把握できていない。紛争当事者たちが国連やNGOの調査に対して子ども兵の存在を認めない上、時間とともに子どもたちが成年兵に成長してしまうからだ。06年10月に発表されたアナン国連事務総長(当時)の報告によれば、少なくとも12カ国において政府軍や反政府軍、武装民兵組織が子どもを兵士として利用している。戦闘員としてだけでなく、コック、連絡係、スパイ、大人兵の性欲の処理などを強要されているという。



国際会議「戦争の子を救え」のパンフレット
解決を求める声
こうした現実を元子ども兵たちが証言する機会が増えるにつれて、子ども兵問題の解決を求める声が高まっている。例えば今年2月に開催された国際会議「戦争の子を救え」はフランス政府と国連児童基金(ユニセフ)が共催し、日本を含む60カ国近くの政府や非政府組織(NGO)の代表らが参加。問題が深刻なスーダンやウガンダ、コンゴなども参加し、子ども兵の解放をうたった共同宣言「パリ規約」を採択した。

「パリ規約」では、戦争で18歳以下の子どもを兵士にするのを防ぐため、国際法に基づく責任者の訴追などの手段を講じる必要があることを確認。同時に、子ども兵の社会復帰を支援するプログラムを整備する重要性も指摘し、停戦合意が達成される前から取り組みを始める必要があると強調している。法的な拘束力はないが、子ども兵問題の解決に向けた重要な一歩といえよう。

子ども兵問題の闇は深い。解決を訴える国際会議の開催も、今回が初めてのことだ。少年・少女を大人のエゴの犠牲にしてはならない。国際社会は一段と監視を強化するとともに、貧困問題の解決など、子ども兵を生み出さない環境づくりに力を注ぐ必要があるだろう。




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