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対話こそ平和な世界を築くカギ
講演の冒頭、ハタミ氏は「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」とユネスコ憲章を引用。現在は平和を求める心より戦争へ向かう物質や精神的な可能性の方が多く存在しているとし、責任感が強く、平和のために実際に行動を起こせる市民の育成が不可欠と訴えました。同時に、多くの政府は倫理性を欠いているとし、政府や各種団体に自省を求めました。 また、実際に文明間の対話を進めるにあたっては全人類共通の課題をテーマにすること、文化や科学などあらゆる領域で対話を行うこと、指導者が対話できる環境をつくることなどが大切と指摘。平和や安定は全世界共通の願いだとし、共々に平和な未来を構築しようと呼びかけました。 質疑応答の要旨は以下の通りです。 Q. なぜ戦争はなくならないのか。 A. 政治にムハンマドの倫理が欠けているからだ。 Q. イランの核問題についてどう思うか。来月米国で講演するそうだが、どんな内容について話をするのか(朝日新聞記者)。 A. イランは決して核兵器を作るつもりはない。平和利用である。イランは核拡散防止条約(NPT)に加盟しており、あくまでも国際規範の中でやっていく。100個以上の核爆弾を持つ国が国際社会から圧力を受けず、支持までされている。世界の権力側の間違った政策がテロを広げた。イランがテロを支援しているわけではない。 Q. 現在、教育現場に競争が持ち込まれている。その影響で対話ができず、ディベートになってしまう。 A. その通りだと思う。地域的にも地球的にも対話ができる教育に力を入れていくべきだ。 Q. イランの民衆は対話を忘れたのか(読売新聞記者)。 A. そうは思わない。イランの人々も戦争など望んでいない。むしろ、ここ数年で世界の権力側が強圧的なものに変化した。だからイランの体制側も負けてはいけないと言葉遣いを変えているのだろう。 Q. 政治に宗教をどう導入すればいいか。 A. 非常に難しい課題だが、宗教はあくまでも政治を支える倫理として導入すべきだ。政治に宗教を悪用されてはいけない。 なお、当日の模様は「国連大学ビデオ・ポータル」(日本語あり)で動画配信されているほか、ハタミ氏公式ホームページで原稿が公開されています(ペルシア語、英語)。
1943年イランヤズド州アルダカーン市の信仰の厚い家庭に生まれた。コム市で神学を学び、その後、イスファファン大学で学士号を取得、70年にはテヘラン大学で教育学修士号を取得し、卒業後もコム市で哲学を学んだ。79年のイスラム革命後、「ケイハーン・デイリー」新聞の編集長を務め、イスラム革命後第1期の議員に選出。82年から92年には文化・イスラム指導相を務めた。92年ラフサンジャニ前大統領の顧問に任命され、96年文化革命高等評議会委員、後に同評議会委員長に就任。97年5月の大統領選挙で得票総数7割近くの票を得て第5代イラン・イスラム共和国大統領に選出された。2001年6月に再選、05年8月まで在任。ハタミ氏はペルシア語のほかアラビア語、英語、ドイツ語に堪能で、数多くの本を執筆。邦訳著書に『文明の対話』(共同通信社)がある。 『文明の対話』(講演集)共同通信社 詳細を見る>> |
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